シミ取り治療(シミの種類)

いしい形成クリニックはシミ取り治療に力を入れて取り組んでおり、つくば・茨城だけでなく他県からも多くの患者様にご来院いただいております。
シミ取り治療で最も重要なことは、まず正確な診断を行うことです。
当院は一般皮膚科でのシミ取り治療とは一線を画し、時間をかけて丁寧な診察・診断・説明を行ったうえで、患者様ごとの治療計画を立てます。
シミ取り治療もすべて院長自らが行い、看護師にレーザー照射を任せるような手抜き治療はいたしません。

老人性色素斑

シミの中で最も代表的なもので、「日光黒子」と呼ばれることもあります。
紫外線と加齢が原因とされます。
加齢とともに増加するシミですが、早い人は20代から生じることがあります。
大きさはさまざまで、顔のどこにでもできます。
色は褐色調で、濃淡もさまざまです。
ゆっくり拡大する傾向や、徐々に濃くなる傾向を持っています。
老人性色素斑が自然に消えることはほとんどありませんが、稀に炎症や外傷がきっかけに消失することがあります。
老人性色素斑が盛り上がったものは、脂漏性角化症(老人性イボ)と呼ばれます。
単なるメラニン沈着ではなく表皮細胞(角化細胞)の異常が背景にあることから、一種の腫瘍性病変ということもできます。
表皮内メラニン沈着が主体ですが、たまに真皮内にもメラニンが存在していることがあります。

老人性色素斑の症例1

老人性色素斑の症例1

老人性色素斑の症例2

老人性色素斑の症例2

Qスイッチレーザーが極めて有効で、最も治療しやすいシミです。
老人性色素斑の多くは1回のQスイッチレーザー治療で除去できます。
盛り上がりがある場合はイボの治療に準じます。
細かい老人性色素斑や広範囲の色素斑、全体的にクスミを伴う場合などは、I2PL治療が適しています。

治療法  ⇒ Qスイッチレーザー
     ⇒ I2PL
     ⇒ ピコレーザー

脂漏性角化症(老人性イボ)

表面が盛り上がったシミで、色の濃さや形態がバラエティーに富んでいます。
一見老人性色素斑に見えるシミをよく観察するとイボ状に盛り上がっているということがよくあります。

脂漏性角化症(老人性イボ)の症例

脂漏性角化症(老人性イボ)の症例

盛り上がりの程度が軽く色が濃い脂漏性角化症はQスイッチレーザーで除去できることもありますが、色が薄いものや盛り上がり方が大きいものは初めから蒸散治療を行った方がしっかりと除去できます。

治療法  ⇒ イボ治療
     ⇒ Qスイッチレーザー

そばかす(雀卵斑 じゃくらんはん)

遺伝性のあるシミで、小児期から2~3㎜の小さい褐色斑が顔の両側に多発します。
そばかすは小児期から出現するものであり、成人になってから現れる多数の小さいシミは、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)や細かい老人性色素斑と考えられます。
また、そばかすにはしばしばADMが合併します。

そばかす(雀卵斑)の症例

そばかす(雀卵斑)の症例

そばかす治療の第一選択は、当院ではI2PLです。
そばかすは範囲が広く再発しやすい性質があり、Qスイッチレーザーによる完全除去にこだわらなくても良いと思います。
小さいそばかすほどI2PLがよく効きます。
小範囲の場合やADM部分に対してはQスイッチレーザーが有効です。
そばかす治療に最も適さない治療法がトレチノイン治療です。

治療法  ⇒ I2PL
     ⇒ Qスイッチレーザー
     ⇒ ピコレーザー

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

20才以降に、両頬に4~5㎜の小斑点状のシミとして現れます。
両前額外側の生え際や両下眼瞼、鼻部にびまん性(地図状)に出現することがあります。

ADM発症部位の図

ADM発症部位の図

ADMという名前に馴染みがないせいか、珍しいシミと思われがちですが、実は非常に頻度の高いシミです。
肝斑と間違われることが非常に多く、当院を訪れるADM症例のほとんどは前医で肝斑と診断されています。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の症例1

ADMの症例1

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の症例2

ADMの症例2

ADMは名前の通り真皮内にメラニンが増加していて、典型的なADMは灰色~紫色がかった色調を呈します。
典型的なADMと肝斑は、発症年齢、シミの形態、色調から鑑別できますが、色が薄く範囲が狭い場合は鑑別が難しい場合があります。
また、ADMと肝斑はしばしば合併します。

ADMと肝斑の鑑別の図

ADMと肝斑の鑑別の図

ADMの真皮内病変は、Qスイッチレーザーでなければ完治できません。
レーザーで破壊された真皮内のメラニンは、治療後ゆっくり吸収されるため、薄くなるまでに6ヶ月程度の時間がかかります。
また複数回の治療を要することが多く、その場合は3~6ヶ月間隔でレーザー治療を行います。
レーザー治療後に色素沈着を起こした場合は、トレチノイン治療を併用することがあります。
肝斑合併例では、肝斑の治療を先行して行います。

治療法  ⇒ Qスイッチレーザー
     ⇒ ピコレーザー

肝斑

30歳以上の主に女性に発症する両側対称性のシミです。
褐色調で地図状に広がるシミですが、その広がり方は人によって様々です。
下眼瞼の薄い皮膚の部分に肝斑は生じないことも特徴の一つです。
刺激によって悪化し、レーザー治療や強い光線治療は禁忌です。

肝斑の症例

肝斑は両側に地図上に広がります

治療の基本は、肌をこすらないようにする生活指導と、薬治療です。
薬治療で効果が見られない場合はレーザートーニングの適応です。

詳しくは ⇒ 肝斑治療

治療法  ⇒ 薬治療
     ⇒ レーザートーニング
     ⇒ ピコトーニング

炎症後色素沈着(PIH)

熱傷や擦り傷などの外傷後や、ニキビ、皮膚炎の後に色素沈着を起こした状態です。
Qスイッチレーザー後や蒸散治療の後に起こる色素沈着も炎症後色素沈着です。

炎症後色素沈着(PIH)の症例

炎症後色素沈着のほとんどは一過性で自然に消失するので、紫外線対策をしながら、ハイドロキノンを中心とした薬治療を行います。
積極的に治療する場合は、肝斑治療に準じてレーザートーニングもしくはトレチノイン治療を行います。
刺激が繰り返されて真皮内にメラニンが沈着している炎症後色素沈着はQスイッチレーザーの適応です。
レーザー治療によって生じた炎症後色素沈着に対しては、再度レーザー治療を行ってはいけません。

治療法  ⇒ 薬治療
     ⇒ レーザートーニング
     ⇒ ピコトーニング